「くせ毛はダメ」って、誰が決めたの? 美容室が教えてくれない、髪のホントの話。50代から、もっと自由に、もっと自分らしく輝くためのヒントを、くせ毛専門美容師HERAIがお届けします。これからのトレンドは、「あなたらしさ」!
以前の記事では、加齢による髪質の変化やくせ毛が強まる原因について詳しく解説いたしましたが、今回はその対策の要となる「ヘアケア製品選び」、特にシャンプーとトリートメントの「質」に焦点を当てます。
巷に溢れる成分解析情報に惑わされず、本当に自分の髪に合う製品を見つけるための専門的な視点と、具体的なケア方法について、くせ毛専門美容師HERAIが解説します。
なぜシャンプーとトリートメントの「質」でくせ毛は変わるのか?
年齢を重ねたくせ毛は、髪内部の水分と油分のバランスが崩れやすく、キューティクルが剥がれたり乱れたりしていることが多い状態です。
ここに質の低いシャンプーを使うと、過剰な洗浄で乾燥を招き、キューティクルをさらに傷つけ、内部成分の流出を促し、結果的にくせを悪化させます。
一方で、質の高いシャンプー&トリートメントは、髪の構造レベルで優しく効果的にアプローチします。
- ・優しい洗浄: 必要な潤いを保ちながら汚れを落とします。
- ・内部補修と保湿: 有効成分が髪内部に浸透し、バランスを整えます。
- ・キューティクルの保護・補修: 髪表面を滑らかにし、外部刺激から守り、まとまりやすくします。
製品の「質」とは、単に良い成分が入っているかだけでなく、髪の悩みに根本からアプローチできる処方になっているかどうかなのです。
シャンプー&トリートメントの「善し悪し」を見極める専門的ポイント
質を見極めるポイントとして、一般的には以下が挙げられます。
- 洗浄成分の種類: アミノ酸系やベタイン系などマイルドなものが主体か。
- 保湿・補修成分の内容と濃度: セラミド、ケラチン、植物オイルなどが上位に記載されているか。
- 処方技術: 成分が効果的に働くよう工夫されているか(表示からは分かりにくい)。
- pH値: 髪や肌に近い弱酸性か。
「オーガニック」「ノンシリコン」といった言葉だけに惑わされず、これらのポイントを総合的に見て判断することが理想ですが、判断が難しいかと思います…。
pH値の重要性と確認法について
【補足】なぜ「pH値」が髪と頭皮に重要なのか?
弱酸性でない(アルカリ性の)場合の髪や頭皮への影響
髪や頭皮は本来「弱酸性」(pH4.5〜5.5程度)に保たれているのが健康な状態です。もしシャンプーなどが弱酸性でなく、アルカリ性に傾いていると、以下のような問題が起こりやすくなります。
- ・キューティクルが開く:
- ・アルカリ性は、髪の表面を覆っているウロコ状のキューティクルを開かせる性質があります。
- ▽結果
- ・髪の内部の水分や栄養分が流れ出しやすくなり、パサつきや乾燥、ツヤの低下を招きます。
- ・キューティクルが開いたままだと、髪同士が引っかかりやすくなり、手触りの悪さ(ゴワつき)や絡まり、切れ毛の原因になります。
- 外部からの湿気の影響も受けやすくなり、くせ毛のうねりや広がりが悪化しやすくなります。
- 頭皮への刺激・負担
- ■健康な頭皮は弱酸性の皮脂膜で守られていますが、アルカリ性の洗浄剤はこれを過剰に除去し、頭皮のバリア機能を低下させることがあります。
- ▽結果
- ・頭皮が乾燥しやすくなり、かゆみやフケの原因となることがあります。
- ・刺激に弱い方は、炎症を起こしてしまう可能性もあります。
- ・頭皮の常在菌バランスが崩れることもあります。
pH値を気にする(検査・選択する)必要性
上記の理由から、特に以下のような方は、ヘアケア製品(特にシャンプー)が弱酸性であることを意識して選ぶ(またはpH試験紙で目安を確認する)必要性が高まります。
- ・髪のダメージ、パサつき、広がりが気になる方: アルカリ性はこれらの悩みを助長しやすいため、キューティクルを穏やかに保つ弱酸性が適しています。
特にエイジング毛や元々のくせ毛は、髪の状態が不安定なことが多いため、pHの影響を受けやすいと言えます。 - ・頭皮が乾燥しやすい、敏感、かゆみやフケが出やすい方: 頭皮のバリア機能を守り、健やかな状態を保つために、刺激の少ない弱酸性の製品が望ましいです。
- ・カラーやパーマ、縮毛矯正をしている方: これらの施術はアルカリ性の薬剤を使うことが多く、髪がアルカリ性に傾きがちです。
弱酸性のケア製品で髪を本来の状態(等電点)に近づけることで、ダメージの進行を抑え、施術の効果を長持ちさせる助けになります。
結論として、 髪と頭皮の健康を保ち、トラブルを未然に防ぐためには、日常的に使うシャンプーなどが弱酸性であるかを確認(または弱酸性と明記された製品を選ぶ)ことは、特に髪や頭皮に悩みがある方にとっては大切なステップと言えます。
【実践】pH試験紙で弱酸性かチェックする方法
一般の方が製品のpH値を簡単に確認するには、「pH試験紙(ピーエイチしけんし)」を使うのが一番手軽です。
簡単な確認方法
- 1.pH試験紙を入手する: ネット通販で「pH試験紙」と検索かやド、ラッグストア、ホームセンターなどで数百円で購入できます。広範囲のpHを測定できるタイプを選びましょう。
- 2.シャンプーなどを少量取る: 清潔な小皿などに少量出します。
- 3.精製水で少し薄める(推奨): そのまま測ることもできますが、より正確に測りたい場合は、4.精製水(薬局などで購入可)または蒸留水を少量加えて少し薄めます。(※水道水は地域によってpHが異なるため、使用しないでください)
- 5.試験紙を浸す: 試験紙の先端を1秒ほど浸します。
- 6.色を比べる: すぐに試験紙を取り出し、パッケージに記載されている色見本(比色表)と照らし合わせます。
- 7.弱酸性の範囲を確認: 色見本上でpH4.5〜6.0(製品により多少前後します)程度の範囲の色を示していれば、その製品は「弱酸性」である可能性が高いです。
- ・あくまで家庭でできる目安としての確認方法です。正確な数値ではありません。
- ・製品自体の色によっては、試験紙の色が少し見えにくい場合があります。
【最重要】成分表示"だけ"でシャンプーを評価するのが危険な5つの理由
ここで最も強調したいのは、成分表示だけを見てシャンプーの善し悪しを安易に判断することには大きなリスクが伴い、時に深刻な誤解を招くということです。
- 1.成分だけでは「くせ毛は伸びない」: まず、大前提として化粧品に配合できる成分やその量には薬機法上の制限があり、シャンプーやトリートメントの成分だけで、くせ毛を薬剤のように真っ直ぐに伸ばすことは不可能です。
広告で見かける劇的にストレートになったような写真は、多くの場合、ヘアアイロンや高度なブロー技術といったスタイリング効果によるもの。
「※個人の感想です」「※スタイリング効果によるイメージです」等の注釈を確認しましょう。 - 2.「成分解析」は誰でもできる情報整理: ネットで例えば「成分名+効果」と検索すれば情報は得られますが、それは断片であり、製品全体の質や相性を保証しません。
ほとんどは、真の専門知識よりも情報整理やプレゼン能力が目立つ「成分解析」だとHERAIは思っています。 - 3.「プールに1滴」でも記載可能な現実: ルール上、極めて微量(例えるならプール一杯の水にスポイトで1滴程度)であっても全成分表示に記載し、『〇〇配合!』とアピール可能です。
- 4.配合量だけでは効果は測れない: では、たくさん配合されていれば良いのか、少ないとダメなのか?これも単純な話ではありません。
成分同士の相乗効果や、他の成分との組み合わせ(処方バランス)が極めて重要であり、特定の成分の配合量だけで製品の良し悪しは決して判断できません。 - 5.プロは成分「だけ」では評価しない: だからこそ、私(HERAI)は安易に成分表示だけを見て評価することは絶対にしません。
素晴らしいとされる成分がリストに並んでいても処方が悪ければ意味がなく、逆もまた然り。
成分評価はまさに机上の空論になりかねないのです。
【注意】プロでも惑う化粧品の複雑さと、美容師選びの重要性
化粧品、特にヘアケア(スキンケアも)製品の処方は非常に複雑です。
同じ成分でも配合濃度、組み合わせ、基剤(ベースとなる成分)、製造プロセスによって効果は全く異なります。
この複雑さゆえに、髪のプロであるはずの美容師でさえ、時にネット上の情報や断片的な知識に左右されてしまうケースがあるほど、注意が必要です。
美容師の中にも、製品選びのアプローチは様々です。
- □理論派: 成分表を重視し、知識に基づいて判断しようとします。
- □ミーハー派: ネットの口コミやトレンドに流されやすく、時に素人に近い判断基準になることも。
- □証拠・結果主義派: 実際に使った結果やお客様の髪の変化を最重要視します。
さらに厄介なのは、残念ながら店販(店での商品販売)の利益目的で特定の商品を強く勧める美容師もいるという事実です。
その美容師は接客のプロでもあるので本当にあなたの髪を思って勧めているのか、単に売りたいだけなのかを見極めるのは困難です。
「その美容院で扱っていない製品も正直に勧めてくれるか?」を見る方法もありますが、これも完璧ではありません。
最近では美容師個人がアフィリエイトリンク(紹介リンク)で紹介料を得ているケースもあり、店販でなくても利益が絡む場合があります。
化粧品選びは、プロにとっても様々な情報や思惑が絡み合い、非常に難しい問題なのです。
一般の方が本当に参考にすべきこと
では、情報が錯綜する中で、一般の方は何を信じれば良いのでしょうか?
- ご自身の「使用感」を最優先に: 最も信頼すべきは、やはりご自身の髪で実際に使ってみた際の『使用感』です。
洗い心地、泡立ち、すすぎやすさ、そして何より乾かした後の手触りやまとまり感。これに勝る判断基準はありません。 - 信頼できる「結果主義」の美容師に相談する: 次に確実なのは、あなたの髪質や履歴を長年担当し、よく理解してくれている『結果主義』の美容師さんに相談することです。
机上の空論になりがちな成分知識よりも、実際にあなたの髪を何度も見て、触って、施術してきた経験に基づいた「結果」からのアドバイスは、何よりも信頼できる情報源です。例えば、私(HERAI)の場合、お客様に製品をおすすめする際は、VIEOTYが良いと決めつけることはありません。
その方の価値観(例:オーガニック志向か、時短優先、コスパなど)、ご予算、髪質、頭皮の状態、ライフスタイルまで総合的に考慮し、最適な選択肢をいくつか提案します。
そして、次回来店時に必ず『その後どうでしたか?』などと使用感や髪の変化を確認し、その結果を観察します。
そのフィードバックをもとに、おすすめした製品が本当に合っていたのか、あるいは別の選択肢が良いのかを判断し、継続的にサポートしていくことを信条としています。 - ネット情報は限定的な参考に(要注意): サンプルもなく、信頼できる美容師さんもいない場合の最終手段として、裏面の全成分表示の上位10成分程度をネットで調べることも考えられます。
しかし、前述の通り、表示順のトリック*1、ネガティブマーケティング、成分への偏見(例:シリコン*2への誤解など)があるため、あくまで限定的な参考情報と捉え、決して鵜呑みにしないでください。
最終的には、ご自身の髪での実感と、信頼できるプロの継続的な観察に基づいた判断が最も重要です。
新常識?「質の高いシャンプーがあればトリートメント不要」説とアウトバスケアの重要性
実は、本当に質の高いシャンプーを使用した場合、それだけで髪のコンディションがある程度整い、必ずしもシャンプー直後にインバストリートメント(洗い流すタイプ)を使う必要がないケースもあります。
むしろ、洗髪後の濡れた無防備な髪には、ドライヤーで乾かす前の「アウトバストリートメント(洗い流さないタイプ)」が極めて重要です。
クリームやオイルをなじませることで、熱や摩擦から守り、水分を閉じ込め、日中の外的要因からも保護します。
「質の高いシャンプー」+「アウトバストリートメント」 これが、くせ毛であっても扱いやすくするための基本ケア(土台作り)のゴールと考えています。
ちなみに、ここで基礎ケアをシャンプーとアウトバストリートメントの2つに絞っているのは、第一に「質が良いこと」を大前提としているためです。
そして第二に、化粧品開発者としての私の考えでは、アイテム数を増やせば効果実感が高まるのはある意味当たり前であり、ここではあえて本質的なケアに絞って解説したかったからです。
「基礎ケア」と「スタイリング」は別物!メイクに例えると分かりやすい
ただし、基本ケアはあくまで「土台作り」(=スキンケア)。
くせ毛特有の悩み(湿気対策、デザイン維持、艶や潤い感向上など)に対応するには、メイクアップに相当する「スタイリング剤」が必要です。
- ■基礎ケア(シャンプー、アウトバストリートメント): 髪のコンディションを整え、扱いやすく健康な状態に保つ。
- ■スタイリング(ワックス、バーム、ジェルなど): 湿気対策、スタイルキープ、艶や潤い感調整、束感などのデザイン性向上など、目的別にプラスする。
基礎ケアで整えた髪に、目的に合ったスタイリング剤(=セット力、カバー力)を加えることで、一日中快適で美しい髪が完成します。
【新提案】3つで18役*3を叶えるオーガニックオールインワン「VIEOTY(ヴィオティー)」
こうした「質の高い基礎ケア」と「必要に応じた仕上げ」をシンプルに実現する選択肢の一つが、オーガニックオールインワンブランド「VIEOTY(ヴィオティー)」です。
- ■ステップ1: ハーモニーウォッシュ
髪・顔・体を1本で洗う全身保湿洗浄料。質の高い洗浄・保湿成分で、髪をしっとりしなやかに。 - ■ステップ2: クリーム
ハーモニーウォッシュ後はインバス不要。タオルドライ後にこれ1つで、ドライヤーの熱や摩擦ダメージを防ぎ、潤いを与え、まとまりやすく。この2ステップがVIEOTY流の「基礎ケア」です。 - ■ステップ3: ドレスバーム (2026年3月までに発売予定)
日中のケアや仕上げに。とろけるマルチバームで、唇や目元・目尻の年齢サインケアにも。
髪にはパサつきを抑え、自然なツヤとまとまりを与えます。ベタつかず、軽やかな仕上がりで、日中の「スタイリング」としても活躍します。
VIEOTYは、結果・コスパ・タイパを重視するHERAIが、くせ毛に悩むお客様の声を元に開発されました。
ただし、どんなに良いアイテムを使っても、毎回通う美容院での施術(カット、カラー、パーマ、縮毛矯正など)の内容や技術次第では、髪は決して綺麗にも、扱いやすくもなれません。
また、日々の乾かし方や扱い方でも髪の状態は大きく変わります。
だからこそ、くせ毛さんは良い美容師と良いアイテム、そのどちらもが必須なのです。
美容師のカットスキルや、そのお客様の髪質やライフスタイルに合わせた日々のケア法を分かりやすく的確にアドバイスするスキルが高ければ、正直なところホームケア製品の質がある程度低くてもカバーできてしまうこともあります。
しかし、理想を言えば、美容師選びもホームケア製品選びも、どちらも妥協しないことが、美髪への一番の近道です。
まとめ
50代からのくせ毛ケアは、成分表示という断片情報に惑わされず、ご自身の「使用感」と、信頼できる「結果主義」の美容師さんのアドバイスを重視することが成功の鍵です。
質の高いシャンプーとアウトバストリートメントで「基礎ケア(土台作り)」を丁寧に行い、必要に応じてスタイリング剤を使いこなしましょう。
VIEOTYのような製品も選択肢に入れつつ、ご自身の髪とライフスタイルに本当に合った、納得のいくケアを見つけてくださいね。
*1: 全成分表示のルールに関する補足。配合率1%以下の成分は順不同で記載可能などのルールがあるため、表示順が必ずしも配合量の多さを正確に反映しているとは限りません。
*2: シリコン(シリコーン)は、髪の表面をコーティングし手触りを良くしたり、熱から保護したりする目的で配合されることがあります。種類や配合量によっては髪に重さを与える場合もありますが、一概に悪い成分とは言えません。詳しくは別のコラムで解説しています。
*3:シャンプー、トリートメント、ヘアオイル、ヘアミルク、ヘアワックス、ヘアバーム、洗顔フォーム、ボディーソープ、ボディークリーム、化粧水、乳液、美容液、クリーム、ネッククリーム、アイクリーム、リップクリーム、ハンドクリーム、ネイルケア
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