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美しさと実用の追及。スマホケース・ショルダーストラップの制作の裏側

この記事の結論

【所作を美しく保つストラップ設計】
総重量1kgを運用するモジュール式エコシステム。身体に美しく沿わせるためストラップ本体には「薄い革」を、肩への負担を消すパッドには「厚い革」を配置。さらに、歩行時の回転を防ぐ「2点吊り」と、改札タッチが流麗に決まる「100cm」を採用しました。

【衣服を守る引き算の美学】
衣類への色移りや摩擦を防ぐため、ストラップ裏面のスエード素材を全廃。革の裏面を鏡のように磨き上げ、実用性と引き算の美を両立させています。

【安全と美観を両立した指バンド】
端末破壊を防ぐ安全なケース構造を採用。指バンドは耐久性を持たせるため固定式としつつ、右利き専用の傾斜と角の面取りを施すことで、指を通す所作そのものを美しく演出します。

この記事の全体像

エコシステムと、美しさを支える革の使い分け

身体に沿う薄いストラップと、1kgの重量を分散させる厚さ2.5mmの可動式パッドのコントラスト。

身体に沿う薄さと、重圧を消す厚さの使い分け。

今回のオーダーは、60代の女性顧客に向けたレザーアイテムの構築です。財布など(総重量約1kg)を収納する『ミニポーチ』と、身軽に動くための『スマホケース』。この2つの器を、両端に真鍮金具を備えた「1本の共通レザーストラップ」で付け替えて使い回すモジュール式エコシステムを設計しました。

設計において私が重視したのは、実用性や安全性のためだけにデザインを犠牲にしないことです。顧客の「歩く姿」や「立ち振る舞い」がいかに美しく見えるかを基準に構造を決定しています。

例えばストラップの設計です。1kgの重量を支えるため、すべてを分厚く頑丈な革で作れば強度は出ます。しかし、それでは身体から浮き上がり、硬く、野暮ったい印象を与えます。そこで、ストラップ本体には身体のラインに美しく沿う「薄い革」を使用し、荷重が集中する肩の部分にのみ厚さ2.5mmの強靭なレザーを用いた「可動式ショルダーパッド」を配置しました。美観と実用性を融合させた結果です。

歩く姿を計算した「2点吊り」と100cmの最適解

スマホケースを吊り下げる構造も、当初は金具1つで留める「1点吊り」を想定していました。静止した状態では1点吊りの方がミニマルで美しく見えます。
しかし、テスト歩行を行うと、1点吊りでは歩くたびにスマートフォンが回転し、暴れてしまうことが判明しました。これでは所有者の歩く姿の美しさが損なわれます。動いている時の美しさを最優先し、ケースが常に安定して正面を向く「2点吊り」へと構造を変更しました。

さらに、ストラップの長さも120cmから「100cm」へと修正。ケースが腰回りで跳ねる物理的ノイズを抑え、駅の改札でICタッチを行う際にも動線が間延びせず、所作を保つことができます。

カシミヤなどへの色移りを防ぐためスエードを全廃し、滑らかに磨き上げられた革の裏面。

また、ストラップ裏面に配置予定だった紫のスエード生地は全廃しました。衣類に色移りするリスクを排除するためとレザーが味わい深く育つ一方で、スエード素材はハードな摩擦によって毛羽立ちや汚れが目立ち、美しくない劣化を起こすからです。その代わりとして採用したのが、背面に透明感のある高強度ケース(PCクリア+TPU)です。お客様が所有するスマートフォン本体が、VIEOTYのブランドカラーである「紫」であることに着目。革で覆い隠すのではなく、透明なケース越しに端末の紫をそのまま魅せることで、アイボリーの革と引き立て合う配色を完成させました。

安全の死守と、指先の所作をデザインするバンド

端末のガラスを割る危険性を排除し、安全性を100%担保したTPU+PC素材の一体型スマホケース。

スマホケース本体の設計においても、端末を割る危険性がある「金属ボルトでの貫通固定」を破棄。接着剤が完全に定着するポリカーボネートとTPU素材の一体型ケースを採用し、端末破損のリスクを排除して安全性を100%担保しました。

右利きに合わせて左斜め上に傾斜させ、指の当たる角を落とした無縫製の指バンドと、適正な圧力で打たれた猫の肉球の刻印。

背面の指バンドの設計にも葛藤がありました。当初は、使用しない時にフラットになる「出し入れ可能な収納ギミック」を検討しました。しかし、構造上接着面が少なくなり、剥がれて壊れるリスクがあることが判明しました。万が一、端末が落下しても「クッション」としての機能するよう耐久性を優先し、強固な固定式を採用しています。

その代わり、固定式であっても極限まで使いやすく、美しい構造を追求しました。右利きのお客様が最も自然に指を通せるよう、バンドは「左斜め上」の角度に傾斜させて配置。指を差し込む入り口側の革の角を滑らかに落とすことで、指への当たりを柔らかくし、指を通す所作そのものを優雅に演出します。

実用性や安全性を言い訳に、美しさを手放すことはありません。すべては、顧客の日常を最も美しく機能させるための設計です。
次回のジャーナルでは、総重量1kgの「ミニポーチ」の構築記録へと続きます。

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