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素晴らしい発明である「縫製」を捨てた理由

糸(ステッチ)を一切使わず、一枚革と真鍮金具のみで構築されたVIEOTYのコレクション。

この記事の結論

【縫製(ステッチ)という素晴らしい技法と、美学の境界線】
一般的ブランドが「ステッチ」を採用するのは、革という素材を無駄なく使い切る効率性、接着を補強する耐久性、そして縫い目自体が装飾となる、非常に理にかなった素晴らしい技術だからです。私はその利点を深く理解した上で、VIEOTYにおいては別の美学を選びました。

【量産体制からの解放と、継ぎ目のない美しさの追求】
ステッチを使わないということは、傷ひとつない特上の部位だけを巨大な革からくり抜く、非常に贅沢で非効率な製法です。素材の無駄が多く量産体制では不可能な選択ですが、私は一つひとつを手仕事で仕立てる環境だからこそ、この「効率の制約から解放された、純粋な美の追求」が可能です。一枚の革のまま自立としなやかさを両立させるため、緻密な厚みの調整を施しています。

【視覚的なノイズを削ぎ落とした、構造の美】
トートから小物に至るまで、芯材でごまかす場所がない継ぎ目のない構造です。ステッチという視覚的なノイズを全廃したからこそ、接合を支える無垢の真鍮金具が、そのままジュエリーのような美しい意匠へと昇華されます。効率や合理性ではなく、素材と構造が本来持つ美しさを引き出すことに執着した設計です。

この記事の全体像

なぜ、合理的で素晴らしい「縫製(ステッチ)」を捨てるのか

トートバッグ、ミニポーチ、共通ショルダーストラップ、キーケース、そしてチャームミラーに至るまで。
VIEOTYのヴィンテージコレクションを俯瞰した時、ひとつの共通点に気づくはずです。それは、すべてのアイテムに「糸(ステッチ)による縫製」が一切施されていないということです。

なぜ世の中には、一枚革で作られたシームレスなハイブランド小物が少ないのか。それは決して技術的な問題ではありません。むしろ、縫製(ステッチ)という技術がいかに優れ、合理的で理にかなっているかを知り尽くしているからこそ、多くのブランドはそれを採用しているのです。

効率、耐久性、そして装飾。縫製(ステッチ)の多角的な合理性

天然皮革には、生前の傷やシワ、部位による強度のばらつきが必ず存在します。小さなパーツごとに裁断し縫い合わせることは、革という貴重な素材を無駄なく使い切るための、非常に効率的でサステナブルな技法です。

また、ステッチは、接着剤だけでは担保しきれない長期間の使用における耐久性を補強する役割も担っています。これにより、製造者側のリスク(故障によるお直し・クレーム対応など)を減らし、安定して長く使える製品を提供することが可能になります。

「自立させたい面」には硬く厚い革を、「折り曲がるマチやハンドル」には薄くしなやかな革を組み合わせることで理想的な機能を持たせ、均等に落ちるステッチ自体が品格を決定づける重要な「装飾」となる。ステッチは、合理的かつ機能的であり、美しい。この技法の利点は計り知れません。しかし、私は作り手としてそこに魅力、やりがいを感じません。

一枚革に挑む非合理の美学と、量産という制約からの解放

傷ひとつない特上の部位だけをくり抜き、一枚の革の中で厚みを緻密に調整した断面。

素晴らしい技術であるステッチも、プレーンな革の広がりにおいては、美しさを分断する視覚的な「ノイズ」になり得ると私は考えました。
継ぎ目を持たせるということは、型紙の分割を意味し、一枚革が本来持っている自然なドレープや大きな面の美しさをどうしても損なってしまいます。一般的ブランドの「合理的で正しい選択」さえも削ぎ落とした先に可能性を感じました。

一切の継ぎ目を持たせないということは、巨大な一枚の革から「傷ひとつない完璧な部分」だけを大胆にくり抜くことを意味します。これがいかに素材の無駄が多く、量産を前提とした体制では手を出せない非効率な選択であるか。
しかし、命を無駄なく使い切るという「製造側の都合」よりも、完成された美しさを最優先したい。私は、一つひとつの作品を仕立てる限られた生産体制だからこそ、この非効率で美しい構造を成立させることができます。量産品には絶対に宿らない、限られた方へ向けた希少性の証明です。

縫い合わせができない中で、一枚の革のまま「自立する硬さ」と「折り曲がるしなやかさ」を同居させる。これは、革の厚みを緻密に、そして部分的にコントロールする独自の細やかな調整によって実現しています。

構造そのものがデザインになる。真鍮金具の役割

縫製や芯材を使わず、革の接合と強度を担う無垢の真鍮金具。構造そのものがデザインとなるディテール。

芯材でごまかす場所がない継ぎ目のない構造では、一切の誤魔化しが効きません。アイテムの構造そのものが美しさと強度を持たねばならず、私は接合技術と、無垢の真鍮金具を採用しました。

一般的ブランドがステッチで行う補強や装飾がない代わりに、すべての強度を担う真鍮金具。この接合の要となるパーツが、そのままジュエリーのようデザイン設計です。

大容量のトートバッグから小物に至るまで。「何を加えるか」ではなく「何を削ぎ落とせるか」を極限まで突き詰めた結果が、この無駄のない佇まいです。
継ぎ目がないからこそ伝わる、革本来の色気とドレープの美しさ。これが、VIEOTYが提示する新しい美学です。

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