この記事の結論(90秒要約)
なぜなら、白髪染めによるダメージには、アルカリや酸化剤による化学反応という、明確な科学的根拠があるからです。そして、原因がわかっていれば、ダメージを最小化するための具体的な対策を講じることが可能です。
本質的な解決策は、美容室での計画的な施術と、ご自宅での科学的根拠に基づいたアフターケアの連携にあります。
特にカラー後の髪は、栄養と潤いが流出した非常に無防備な状態。このタイミングで、失われたタンパク質(PPT)や脂質(CMC)を迅速に補給することが、その後の髪の運命を決めます。
もう、美しさのために髪の健康を犠牲にする時代は終わりです。
ダメージの科学を正しく理解し、プロの技術と日々の補うケアを連携させること。
それこそが、これからの時代における、大人のヘアカラーのあり方だと、私は考えます。
「白髪染めは傷むもの」
その“常識”を、
今日で終わりにしませんか?
年齢を重ねても、美しい髪色を楽しみ、自分らしく輝き続けたい。
その純粋な想いとは裏腹に、繰り返す白髪染めで髪がパサつき、ツヤを失い、指通りが悪くなっていく現実。
「きれいな色のためだから、髪のダメージは我慢するしかない」
「頭皮への負担も、少し心配…」
もしあなたが、そう感じているのなら、ぜひこの先を読み進めてください。
化粧品開発者であり、14年以上お客様の髪と向き合ってきたくせ毛専門美容師として、その長年の諦めに終止符を打つための、科学的根拠と具体的な戦略をお話しします。
美しさと、髪と頭皮の健康は、決してトレードオフの関係ではありません。
正しい知識を持つことで、私たちはその両方を手に入れることができるのです。
なぜ白髪染めで髪が傷む?
避けられない化学反応の真実

このダメージの科学を理解することが、年齢による髪の変化に立ち向かう総合ヘアケア戦略|髪編で語られる、より大きな戦略の第一歩です。
「負担が大きい」と漠然と理解されている白髪染めのダメージ。
その正体は、一般的に広く使われる「酸化染毛剤(アルカリカラー)」*1が、髪の内部で引き起こす化学反応にあります。
少し専門的な話になりますが、分かりやすく「家」に例えてご説明しますね。
【専門知識】髪へのダメージ、3つの要因
- 1. アルカリ剤(家の扉をこじ開ける)
- アンモニアなどのアルカリ剤は、染料を髪の内部に入れるため、髪の表面を覆うキューティクル*2という扉を強制的にこじ開けます。この行為自体が髪に物理的な損傷を与え、アルカリが髪に残留すると、継続的にダメージを引き起こす原因にもなります。
- 2. 酸化剤(家の中の色を変え、柱や壁にダメージ)
- 過酸化水素*3などの酸化剤は、髪内部のメラニン色素を脱色し(黒い壁紙を剥がすイメージ)、染料を発色させます。しかし、この強力な酸化力は、髪の骨格であるタンパク質(家の柱や壁)にもダメージを与え、髪の内部を空洞化させ、ハリやコシを失わせてしまうのです。
- 3. ジアミン染料(発色は良いが、アレルギーのリスクも)
- しっかりと発色し色持ちが良い反面、体質によってはアレルギー性接触皮膚炎の原因となることが知られているジアミン染料*4も含まれます。
特に白髪染めは、白髪をしっかり染め上げるために、おしゃれ染めよりも染料濃度やアルカリ度が高い傾向にあり、より髪と頭皮への深い配慮が不可欠なのです。
あなたに最適な選択は?
4つの白髪染め戦略マップ
「白髪染め」と一括りにせず、ご自身の目的と、許容できるダメージレベルに応じて、複数の選択肢から最適なものを選ぶ「戦略的思考」が重要です。
ここでは代表的な4つの種類を解説します。
【白髪染めの種類】
メリット・デメリット
メリット・デメリット
アルカリカラー(酸化染毛剤)
特徴:最も一般的なサロンカラー。キューティクルを開き、内部で脱色と発色を同時に行います。
メリット:色持ちが良く、色の選択肢が豊富。黒髪も明るくできます。
デメリット:髪と頭皮へのダメージが最も大きいとされています。アレルギーのリスクも考慮が必要です。
ヘアマニキュア(酸性カラー)*5
特徴:髪の表面を酸性の染料でコーティングします。
メリット:ダメージが少なく、髪にツヤを与えます。
デメリット:色持ちは2〜3週間と短め。頭皮につくと染まってしまうため、根元からしっかり染めるのが難しい場合があります。
ヘナ(植物性染料)*6
特徴:ヘナという植物の色素が、髪のタンパク質に絡みつくようにして染まります。
メリット:化学的なダメージがなく、髪にハリ・コシを与えます。
デメリット:染まる色がオレンジ系に限られます。施術時間が長く、その後のカラーチェンジが難しい場合があります。
カラートリートメント*7
特徴:日々のトリートメントとして使いながら、髪の表面に少しずつ色素を付着させます。
メリット:ダメージはほぼなく、自宅で手軽にケアできます。
デメリット:一度では染まらず、色持ちも短い(数日〜1週間程度)。黒髪を明るくすることはできません。
これらの選択肢について
さらに詳しく知りたい、
自分に合うものがわからない
という方は、ぜひ
私に相談してください。
私が目指す「白髪との向き合い方」が、
あなたのヒントになるかもしれません。
【プロの実践】
ダメージを最小限に抑える
7つの秘訣
白髪と上手に付き合っていくためには、ダメージを最小化するプロの技術と、日々のセルフケアの両輪が不可欠です。
私がお客様にご提案している7つの秘訣をお伝えします。
ダメージを最小限に
抑える7つの秘訣
抑える7つの秘訣
- 全頭染めを繰り返さない:根元のリタッチ*8を中心にし、毛先までの全体染めは年に3回程度にすることで、毛先のダメージ蓄積を防ぎます。
- 頭皮の保護を徹底する:カラー前に頭皮用の保護スプレー・オイルを塗布することで、薬剤の刺激から頭皮を守ります。
- 薬剤の強さを適切に選ぶ:白髪の量や髪質に合わせ、必要最小限のアルカリ度・酸化剤濃度の薬剤を選定できる美容師に相談することが重要です。
- 「ゼロテクニック」を検討する:頭皮に薬剤をつけずに染める「ゼロテク」*9は、頭皮が敏感な方に有効な選択肢です。
- カラー直後のシャンプーを避ける:染料が定着するには時間がかかります。施術当日のシャンプーは控え、翌日以降(染めてから12時間以上)にすることをお勧めします。
- 洗浄力の優しいシャンプーを選ぶ:カラー後のデリケートな髪と頭皮には、アミノ酸系などのマイルドな洗浄成分のシャンプーが適しています。
- 失われた成分を「補う」ケアを徹底する:カラー後の1週間は「ダメージケアのゴールデンタイム」。この期間に、髪から流出した栄養分をいかに補給できるかが、髪の未来を左右します。
カラー後の運命を決める、
VIEOTYのアフターケア哲学
カラー後の髪に本当に必要なのは、シリコンなどで表面的な手触りを良くするだけのその場しのぎのケアではありません。
ダメージによって流出してしまった、髪の骨格や潤いの源となる成分を、ダイレクトに補給するという本質的な「補い」です。
VIEOTYが着目するのは、プロの現場で常識とされる3つの重要成分です。
これらを日々のホームケアで贅沢に補うことこそ、真のダメージケアだと考えています。
さらに詳しく:プロが
重視する3つの補修成分
重視する3つの補修成分
PPT(ポリペプチド)*10: 髪の骨格となるタンパク質の元。ケラチンやコラーゲンなどが代表的で、髪の内部の空洞を埋め、ハリやコシを与えます。
CMC(細胞膜複合体)*11: 髪の内部に存在する脂質の層。水分や栄養の通り道を整え、キューティクル同士を接着する役割を担います。これが失われると、髪はパサパサになります。
ヘマチン*12: カラー後に髪に残留し、ダメージを進行させる「残留アルカリ」を穏やかに除去する働きが期待されています。また、髪のタンパク質と結合し、強度を高める働きも見込めます。(一般的知識として)
白髪染めを、
美を重ねる儀式へ
ここまで、白髪染めの科学的な側面と、ダメージを最小限に抑えるための具体的な対策について解説してきました。
複雑に感じるかもしれませんが、大切なことはシンプルです。
- 白髪染めのダメージには科学的な原因があり、それを知ることで対策が可能です。
- 自分の目的や髪の状態に合った染め方を選択するという視点が重要です。
- 美容室でのプロの技術と、自宅での本質的な補うケアは、どちらが欠けてもいけません。
- 特にカラー後の髪には、PPTやCMCといった、失われた成分を的確に補うことが不可欠です。
白髪染めは、何かを「隠す」ための義務ではありません。
年齢を重ねたからこそ似合う色を見つけ、自分らしさを更新していくための、心躍る機会であってほしいと私は願っています。
VIEOTYは、ヘアケアを、あなた自身を慈しむ豊かな時間、「リチュアル(儀式)」として捉え直す提案をします。
正しい知識という自信を胸に、これからも、あなたらしい髪色を心の底から楽しんでください。
よくあるご質問
市販の白髪染めと、
美容室の白髪染めは
何が違うのですか?
美容室の白髪染めは
何が違うのですか?
A. 最も大きな違いは、薬剤のパワーコントロールです。市販品は、どんな髪質の方でも染まるように薬剤が強めに設定されている傾向があります。一方、美容室ではプロが髪質やダメージレベルを診断し、数十種類の薬剤から最適なものを調合するため、髪への負担を最小限に抑えることが可能です。
「オーガニックカラー」なら、
髪は傷まないのでしょうか?
髪は傷まないのでしょうか?
A. 「オーガニックカラー」の定義は様々ですが、多くはオーガニック認証成分を配合したアルカリカラーを指します。白髪を染める仕組み自体は同じため、ダメージがゼロになるわけではありません。しかし、頭皮への刺激を緩和する成分などが含まれているため、頭皮環境を気遣う方には良い選択肢の一つと言えます。
カラーの頻度は、
どれくらいが理想的ですか?
どれくらいが理想的ですか?
A. 白髪が気になる速さには個人差があるため一概には言えませんが、髪と頭皮の健康を考えると、1ヶ月〜1.5ヶ月に一度の頻度で、根元の伸びた部分だけを染める「リタッチ」を基本にするのがお勧めです。全体のカラーチェンジやメンテナンスは、3〜4ヶ月に一度程度が理想的です。
※注釈
- 酸化染毛剤(アルカリカラー):アルカリ剤で髪のキューティクルを開き、酸化染料を内部で発色させるタイプのヘアカラー。
- キューティクル:髪の表面を覆うウロコ状の組織。
- 過酸化水素:酸化剤の一種。メラニン色素の脱色や、染料の発色を促すために使用される。
- ジアミン染料:酸化染料の一種であるパラフェニレンジアミンなど。ヘアカラーによるアレルギー反応の主な原因物質として知られている。
- ヘアマニキュア(酸性カラー):髪の表面を酸性の染料でコーティングするタイプのヘアカラー。
- ヘナ:ミソハギ科の植物。その葉を乾燥させた粉末が、古くから染料として使用されている。
- カラートリートメント:染料を配合したトリートメント。日々の使用で徐々に髪に色を付着させる。
- リタッチ:新しく伸びてきた根元の部分だけを染めること。
- ゼロテクニック(ゼロテク):薬剤を頭皮に付着させないよう、根元ギリギリから塗布するプロの技術。
- PPT(ポリペプチド):髪の主成分であるタンパク質を、髪になじみやすいよう小さく分解した補修成分。
- CMC(細胞膜複合体):髪の内部に存在する脂質成分で、水分保持やキューティクルの接着剤としての役割を担う。
- ヘマチン:動物の血液に含まれる成分を化学的に処理したもの。カラー後の残留アルカリを除去する働きなどが期待される。









