この記事の結論(120秒要約)
「医薬部外品は効果が高い」という常識。それは、国が認めた有効成分による「安心感」という大きな光がある一方で、処方の自由度や情報の透明性が制限されるという、あまり語られない「影」も存在します。これは単なる優劣の話ではなく、ブランドが何を哲学とし、お客様とどう向き合うかという「姿勢」の課題なのです。
VIEOTYは、あえて「医薬部外品」という称号(鎧)をまといません。なぜなら、「称号を得るためだけのコスト」をお客様に負担していただくのではなく、その全てを処方の中身、つまり結果のために投資したいからです。私が目指すのは、国が定めた最低保証ラインではなく、現時点の皮膚科学で到達しうる処方全体の「理想」に他なりません。
10年後、消費者が今よりもっと賢くなる時代を見据え、私は「正直であること」こそが最強のビジネス戦略だと信じています。もちろん、医薬部外品を信じるお客様の感覚を否定することは決してありません。その感覚を尊重しつつも、いつの日か「この中身を信じているから、もう称号は必要ない」とお客様に感じていただくこと。それが開発者としての私の葛藤であり、最大の夢です。
これは、マーケティング的な
称号ではなく、
製品そのものの力だけで
お客様と向き合うと
決めた、私の覚悟の
物語です。
その想いを製品を通して
感じていただけたなら
幸いです。
第1章:すべての始まり
– サロンでの、ある日の対話
私の原点は、今も昔も、表参道のサロンでお客様一人ひとりと向き合う時間の中にあります。
ある日、長年お付き合いのあるお客様が、鏡の中のご自身を見つめながら、ふと、こうおっしゃいました。
「やっぱり年を重ねると、普通の化粧品じゃダメなのかしら。医薬部外品とか、そういうのを使わないとって思うのよね…」
その言葉には、切実な悩みと、ほんの少しの焦りのような響きがありました。
私は、こうお答えしました。
「そうですよね。国が認めているという安心感がありますよね。そのお気持ち、痛いほどよくわかります」
私は、お客様のその感覚を、決して否定しません。これまで様々な情報に触れ、ご自身の肌で試行錯誤を繰り返してきた中でたどり着いた、ひとつの大切な「実感」だからです。
私にとって、お客様の感覚こそが、何よりも尊重すべき正義なのです。
しかし、その穏やかな対話の裏で、開発者としての私の心は、いつも少しだけ複雑な思いを抱えています。
なぜなら、「医薬部外品=効果が高い」というシンプルな図式の裏には、美容業界の構造的なジレンマと、ブランドとしての大きな決断が隠されているからです。
今日は、その誰もが口を濁してきた聖域に、私の全てを懸けて踏み込んでみたいと思います。
第2章:医薬部外品の「光」
– なぜ私たちはそれに
魅了されるのか
まず、医薬部外品が持つ素晴らしい価値について、心からの敬意を込めてお話しさせてください。
【医薬部外品とは】
国が認める「安心感」
国が認める「安心感」
医薬部外品*1とは、治療が目的の「医薬品」と、美しさが目的の「化粧品」の、ちょうど中間に位置づけられるもの。
その最大の強みは、厚生労働省が認可した「有効成分」*2を規定量配合することで、「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」「肌あれを防ぐ」といった具体的な効果・効能を、製品や広告で明確に謳うことができる点にあります。
これは、無数の製品が並ぶ売り場で、自分の悩みに合った一本を探し求める私たちにとって、暗闇を照らす灯台の光のようなものです。
「私のこの悩みに、この製品は応えてくれるかもしれない」という、確かな期待感と信頼感。これこそが、医薬部外品が放つ最大の「光」と言えるでしょう。
特に、何百万、何千万というお客様に製品を届ける責任を背負う大手ブランド様にとって、この国が定めた基準という「共通言語」は、お客様との大切な約束の形なのだと、私は開発者として深く尊敬しています。
その責任の重さと企業努力には、本当に頭が下がります。
第3章:私は踏み込めなかった
– 医薬部外品の「影」と
処方の芸術

この記事で語られる「処方の自由」は、VIEOTYが「髪と肌を同じケアで良い」と結論付けた処方を実現するための大前提です。この「処方の自由」を守り抜いたからこそ、【専門家が解説】髪と肌は同じケアで良い? | VIEOTYが選ばれる科学的・論理的な理由で語られる、常識を超えたブランドが生まれたのです。
これほどの「光」があるにも関わらず、なぜ私は医薬部外品という選択をしなかったのか。
それは、私が理想とする「サロンクオリティプロダクト」の哲学、そしてお客様への誠実さと、決して相容れないいくつかの「影」の側面…いわば“足枷”が存在したからです。
【開発者の視点】
医薬部外品の3つの「影」
医薬部外品の3つの「影」
影その1:「処方の不自由さ」というジレンマ
VIEOTYの処方哲学は、全成分が互いを高め合う「オーケストラ」です。
私が指揮者となり、最高のハーモonyを追求します。しかし、医薬部外品であるためには、国が定めた有効成分を、規定の濃度で「必ず」配合しなければなりません。
これは、もし私が完璧な交響曲を作曲している途中で、国から「このトランペット奏者を、必ず一番目立つ場所に、指定された音量で3分間ソロ演奏させなさい」と指示されるようなものです。たとえ、その曲が静かなピアノの旋律から始まるはずだったとしても、です。
最新の皮膚科学では、驚くような素晴らしい成分が次々と生まれています。例えば、特定のペプチド*3や植物幹細胞エキス*4は、有効成分ではないものの、肌の土台を健やかに保つ上で、目覚ましい働きをすることがわかっています。
有効成分Aを0.5%入れるよりも、最新のペプチドBを0.1%、サポート役の植物エキスCを0.2%、そして土台を整えるセラミドDを0.3%組み合わせた方が、遥かに肌にとって素晴らしい演奏ができる。そんな確信が、私にはあります。
VIEOTYが「化粧品」であることは、この『処方の完全な自由』という芸術性を守るための、苦渋の決断でした。
影その2:「称号を得るためのコスト」という現実
そして、もう一つ。これがお客様にとって、最も重要な話かもしれません。
医薬部外品の認可を取得し、それを維持するためには、私たちの想像をはるかに超える時間と、莫大な費用がかかります。そのコストは、巡り巡って、必ず製品価格に反映されざるを得ません。
私は自問自答しました。そのコストは、本当に「美しさ」に貢献しているのだろうか?と。
私の答えは「否」でした。
もし、肌にもたらす実感が同じか、それ以上であるならば、私は「医薬部外品」という称号を得るためだけのコストをお客様に負担していただくのではなく、その全てを、より高品質なオーガニック原料や、まだ無名でも素晴らしい可能性を秘めた成分の配合率を、たとえ0.1%でも上げるために使いたい。
それが、プロとして、お客様の肌に真摯に向き合う私の、譲れない矜持なのです。
影その3:探究派のあなたへ「情報の不透明さ」という壁
最後に、私がどうしても受け入れられなかったのが、情報の透明性です。
食に対してマニアックなあなたがレストランでコース料理を頼んだ時、シェフがこう言ったと想像してみてください。「メインディッシュはA5ランクの国産牛です。ですが、その他の付け合わせやソースの材料は、企業秘密ですのでお教えできません」。
心から、その食事を楽しめるでしょうか?
化粧品には、配合量の多い順から全成分を記載する「全成分表示義務」*5があります。これは、お客様が自らの意思と知識で製品を選び取るための、大切な権利です。
一方で、医薬部外品はこのルールが異なり、有効成分とその他の成分に分けて表示されるため、処方全体の構成が非常に分かりにくい。
これは、すべての情報を開示するVIEOTYの「ガラスの箱」という哲学とは、あまりにも対極的な在り方でした。
第4章:未来への約束
– なぜVIEOTYは
「化粧品」を選ぶのか
ここまでお話ししてきた通り、私の選択は決して医薬部外品を否定するものではありません。
その価値を認め、深く尊敬した上で、私は違う道を選んだ、という話です。
それは、過去や現在だけでなく、未来のお客様とどう向き合っていくか、というブランドとしての覚悟の表明でもあります。
「正直さ」が、
最強のビジネス戦略だと
信じているから
10年後、20年後、お客様は今よりも遥かに賢くなっているでしょう。
インターネットがさらに進化し、誰もが簡単に成分や処方について深く学べるようになります。
その時、「医薬部外品だから」という理由だけで製品が売れる時代は、おそらく終わっています。
最後に信頼されるのは、小手先のマーケティングではありません。
製品に込められた誠実さ、つまり「中身・品質」そのものです。
私は、その未来に賭けているのです。
遠回りに見えるかもしれませんが、正直であり続けることこそが、お客様と最も長く、深く、信頼関係を築ける唯一の道だと確信しています。
開発者としての、
終わらない葛藤と学び
誤解しないでいただきたいのですが、私は医薬部外品という選択肢を、思考停止で拒絶しているわけではありません。
今この瞬間も、世界中の論文を読み漁り、新しい有効成分の可能性を研究しています。私の知識が、明日には古くなるかもしれないという危機感を常に持っています。
もし、VIEOTYが理想とする「処方のオーケストラ」を完璧に奏でた上で、さらにお客様への約束をより強固なものにできる『称号』が得られるのなら、その時はあらゆる努力を惜しまず挑戦するでしょう。
私は、常に学び、変化することを恐れません。なぜなら、私の目的は「化粧品」であり続けることではなく、お客様の肌に最高の結果をお届けすること、ただ一点にあるからです。
お客様への、
ささやかで大きな夢
サロンであのように話してくださったお客様のように、「やっぱり医薬部外品の方が安心」と感じる感覚を、私はこれからも心から尊重し続けます。
VIEOTYの製品をお使いいただきながら、他社の素晴らしい医薬部外品を併用されることも、全く構いません。
ただ、私にはささやかで、しかし大きな夢があります。
それは、いつの日か、VIEOTYを使い続けてくださったお客様が、ふと鏡を見てこう感じてくださる日です。
「そういえば、医薬部外品じゃなきゃ、って思わなくなったわね。私にはもう、この称号は必要ない。この中身そのものを、心から信頼しているから」
その瞬間のために、私は人生のすべてを懸けて、この仕事をしています。
終章:神話を超えて、
あなた自身の物語へ
化粧品選びは、単なる消費ではありません。
ご自身の髪、肌と知性で、未来の自分を選び取る、創造的な行為です。
今日の長い話が、その選択の一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
- 「光」と「影」の理解:医薬部外品には「安心感」という光と、「処方の不自由さ」などの影があります。どちらか一方ではなく、両方を理解することが重要です。
- コストの本質:あなたが支払う価格が、「称号」のためなのか、それとも「中身」のためなのか。その視点を持つことで、製品の本質が見えてきます。
- 未来への投資:「正直さ」を貫くブランドを選ぶことは、10年後の賢い消費社会を育む、未来への投資でもあります。
- あなたの感覚が正義:最終的に信じるべきは、誰かの言葉ではなく、あなた自身の肌が感じる「実感」です。その感覚を、何よりも大切にしてください。
「医薬部外品だから良い」「化粧品だから劣る」という単純な神話から解放されたとき、あなたの化粧品選びは、もっと自由で、もっと楽しい、自分自身を慈しむ「リチュアル(儀式)」になるはずです。
よくあるご質問(FAQ)
- Q. では、医薬部外品はもう買わない方がいいのですか?
- A. いいえ、決してそのようなことはありません。特定の肌悩みに対して、国が認めた有効成分が配合されている安心感は大きなメリットです。大切なのは、医薬部外品のメリットとデメリットの両方を理解した上で、ご自身の価値観に合った製品を選ぶことです。この記事は、そのための「新しい視点」をご提供するものです。
- Q. VIEOTYの製品で、シミ対策はできますか?
- A. VIEOTYの製品は「化粧品」であるため、「シミを防ぐ」という直接的な効果は表示できません。しかし、私は処方の自由を最大限に活かし、ビタミンC誘導体やフラーレン、バクチオールといった、肌にハリつやを与え、キメを整え、乾燥によるくすみをケアする成分を、最高のオーケストラとして配合しています。肌全体のコンディションを健やかに保つことが、結果として未来の肌印象を明るくすると、私は確信しています。
- Q. HERAIさん自身は、医薬部外品を全く使わないのですか?
- A. 研究開発のために、市場にある国内外の素晴らしい医薬部外品を常に購入し、自分の肌でテストしています。優れた製品からは多くの学びがありますし、その価値を心からリスペクトしています。テスト法として、私は容器を移し替えて成分やブランド名、価格などのすべてを隠すブランドテストを必ずしますが、「自分の理想を形にする」ならば、現時点では「化粧品」というフィールドが最適解である、という答えになります。この考えは、新しい技術や情報によって、未来には変わる可能性も常にあります。
※注釈
- 医薬部外品:厚生労働省が効果・効能を認可した有効成分が、一定の濃度で配合されている製品。「医薬品」と「化粧品」の中間に位置づけられる。
- 有効成分:医薬部外品において、その効果・効能が国によって認められている成分のこと。
- ペプチド:複数のアミノ酸が結合した化合物。肌にハリや弾力を与えるなど、様々な働きを持つ種類が存在する。
- 植物幹細胞エキス:特定の植物が持つ分裂組織(幹細胞)を培養し、その細胞から抽出されたエキス。肌にハリやうるおいを与える目的で配合される。
- 全成分表示義務:化粧品において、配合されている全ての成分を、配合量の多い順に容器や外箱に記載することが義務付けられている制度。









